Wednesday, August 15, 2007

『ギルバート・グレイプ』

暑い。どうしようもなく暑い。アテンザの車外温度計は40度を超えています。仕事の生産性も冷房頼みのこの頃です。気象情報では高気圧が居座っていて台風もその周りを回っているとか。暑さがピークになってからブログの更新も滞っています。

ゆっくり本を読んでいる時間はないのですが、猛暑の中、立ち寄った古書店で見つけて吸い込まれるように読んでしまっている本があります。ピーター・ヘッジズ著、高田恵子訳『ギルバート・グレイプ』(二見書房 1994)です。この作品は映画化されて、知的障がいの少年役のレオナルド・ディカプリオが素晴らしい演技を見せています。その原作です。映画も素晴らしい出来ですが、原作はまたちがうすごさがあります。知的障がいの家族がいる家庭のたいへんさとか悲しみとか、日常をそんな言葉でとらえることを蹴散らす勢いで家族の日常を描き切っている。かといってシリアス一辺倒ではない。ユーモアもある。そうでないと押しつぶされてしまうのだが、これも生きる知恵のようなものだ。冒頭から「アーニーが死んでくれたらと思う日もあれば、そうでない日もある。いまこの瞬間は、走ってくる車のまえに彼を押しだしてやりたい気持ちでいっぱいだった。」とあって、これだけでも文脈の深さと重さが私の目を釘付けにしてしまうのだが、それが移動遊園地のトレーラーを待つ場面になんの違和感もなくすっと書き込まれている。映画も出色の出来だが原作はまたちがうすごさがある。ただ、この本が新品同様なのに古書店でわずか105円で並んでいたことが、悲しい。

しばらく古書店に行かなかったらいろいろ“入荷”していました。他に買ったのはこの3冊。ローリー・ムーア著、岩本正恵訳『アメリカの鳥たち』(新潮社 2000)、トニー・パーソンズ著、小田島恒志・小田島則子訳『ビューティフル・ボーイ』(河出書房新社 2001)、アレックス・シアラー著、金原瑞人訳『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』(求龍堂 2003) ローリー・ムーアは私と同じ年齢のアメリカの作家です。カバーのポートレートを見ると齢を重ねた存在感のある彼女がこちらを見ていて、「あなたはどうなの?」と問いかけられているようです。

PowerBookG4を使い始めて2年になろうとしていますが、なんと、「バッテリー交換プログラム」(リコール)の対象であることが判明して早速バッテーリ交換の申し込みをしました。これまで何事もなかったことも幸いしてバッテリーが新品になるのは正直なところうれしい。

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